トカゲとメタハラの話と使い方の研究

メタハラは毒にも薬にもなる照明です。




 

 

癖の強いメタハラ

最強の照明と名高いメタハラですが、実は性能に癖があり、白熱電球やセルフバラスト水銀灯と同じ要領で使うと、生体にダメージを与えたり、調子を上げるどころか落としてしまったり、良い結果に結びつかない場合があります。

ただでさえバカ高いメタハラです。導入の前に、ある程度使い方を研究しておきましょう。今回は私がリサーチした範囲内でのメタハラの使い方をつらつらと書いていこうと思います。あくまで個人的見解です。べき論だらけになってしまいますが、まぁ適当に読み流してくださいませ。

 

取扱には十分注意する

はじめにメタルハライドランプは通常の白熱電球とは仕組みが違う、という点を十二分に頭に叩き込んでおく必要があります。

 

メタルハライドランプには安定器という物が道中に接続されています。形状、サイズ様々です。ソラーレでいえばこれのこと。

 

 

中には灯具と一緒に安定器を組み込んでいる物もあります。パワーサンHIDがその代表ですね。ネオビーム一応ギリギリこちらの仲間に入りますが、パワーサンUVやハイパーサンはこの仲間には含まれません。

と、いつもの如く話がズレてしまいましたね。この安定器が寿命を迎えるとメタハラという灯具は終わり、という事になりますので、大事に扱いましょう。この部分以外は値段的にタダのおまけみたいなもんです。

安定器は熱によって大きく寿命が前後しますので、しっかりと放熱し易く、灯具自体の熱に影響されない様にセッティングしましょう。また安定器だから、という訳ではないのですが、落下、振動も悪影響となりますので、グラグラとした場所よりは安定した場所に置く、もしくはしっかりとネジで取り付ける事が重要になります。

 

安定器の寿命は大体8~10年と言われています。劣化した安定器は絶縁性能が低下し、漏電発火発煙等おぞましい事態を引き起こすこともあるので、できれば不調不具合を待たずに、自発的に交換したい所ですね。まぁ大体寿命近くなると、電球が着きそうで着かないもどかしい状態になりますので、すぐわかると思いますが・・・

 

さて、安定器からは2本の配線が伸びています。まずは一次配線。こちらは電源プラグがついている方になります。

 

 

市販のメタハラは大体こんな感じになってますね。緑の配線は接地用の配線になります。漏電が起こった際の命綱とも言える重要な部分ですので、出来る限りしっかりと接地をしましょう。接地に関しては配線環境によって異なるので、各自調べてください。書いてたらきりが無くなってしまいます。

 

問題は二次配線、ランプ側の配線です。

 

 

メタルハライドランプの2次配線には一時的に2k~5kVの高圧電流が流れます。このぐらいの電圧になると、場合によっては普通に感電死しますので、通電中に不用意に二次配線に触るのは絶対に避けましょう。

配線も特別に太いものが使われているケースが多いですが、それでも安心はできません。短絡の原因になるので、コードの上に何かを載せたり、無理に折り曲げるような事は絶対にしてはいけません。二次配線側(もちろん一次配線側もだけど・・・)のコードに大きく傷がついた場合は速やかに使用を停止しましょう。

 

照射距離について考える

メタハラは万能!全ての生体に使える!という話は、半分当たりで半分ハズレです。メタハラは太陽光の代替品としては現時点では最も正解に近い照明の一つであり、太陽光を必要とするトカゲにおいては、全ての種に使えるといっても過言ではありません。

ですが、使用方法を間違えるとあっという間にトカゲの干物を作ってしまう事になります。肝は距離(とワット数)です。照射距離を考慮することで、カンカン照りの砂漠環境から、モデラートな温帯の晴天、森林の木漏れ日まで再現する事が可能になります。

 

 

今回は照射距離順にUVB、UVCについて確認して見ます。今回はサンプルととしてソラーレUVのデータを使っていますが、基本的には70Wのメタハラであればそれ程根本は変わりません。あと現時点では70Wしか扱いません。(今後気が向いたら35W、ソーラーラプターの150Wが出たら150W編も書きたいと思ってます。)

 

ライトから0~10cmの中心部

 

 

UVBが1535、UVCが1.38という数字。大体どちらも日本の太陽光の平均の10倍程度の強度になります。明らかに過剰照射です。これほどの紫外線強度を求めるトカゲは存在しません。長時間この距離からの照射を受けると、まず目がやられてしまうでしょうね。メタハラの接射がいかに危険かわかる数値だと思います。

メタルハライドランプは赤外照射量が少なく、バスキングランプとしての使用を考えている方は、ついついケージの中に入れ込んで接射をしてしまうケースが多々見受けられます。メタハラから生体の目が長時間10cm程まで近づく可能性がある配置をしている方は、今一度セッティングを見直してください。

 

ライトから20cm程の中心部

 

 

 

20cm程離すと紫外線量は大幅に減ります。といってもUVBの強度は500μW/cm2前後なので、夏場の海岸線や砂漠等の太陽がサンサンと降り注ぐエリアと同程度ぐらいになります。ただ、これでもまだ強い、と言わざるを得ません。砂漠や海岸線で日中日が上がっている時間、日光浴をするのは自殺行為です。この環境で長時間バスキングするトカゲは実際はそれ程多くありません。

UVCもそこそこに検知してますので、注意が必要な距離といえるでしょう。生体の目を近づけるにあたっての限界値として考えると良いかもしれません。

 

ライトから30cm程度の中心部

 

 

これで大体日本の紫外線が強い日の野外と同程度になります。紫外線が豊富に必要な砂漠棲のトカゲであればこのぐらいの照射距離でも問題ないでしょう。実際にソラーレUVを使っている人を見かけるとこのぐらいの距離での使用が多く見受けられます。それでも、まだ強めではあります。

 

ライトから40cm程度の中心部

 

 

メーカーの推奨距離です。日本の秋や冬の、ほどほどに過ごしやすい直射日光の紫外線強度がこのぐらいになります。樹上種等あまり紫外線を必要としないタイプのトカゲにはこれでも強いので、ケージの高さを利用して生体の居心地の良い場所を選べるように工夫してあげましょう。観葉植物なので光を遮ってあげるのも良いでしょう。

ビタミンDの生成という点を考えると、おそらくこれぐらいで多くの種で必要量を満たすと思います。

 

照射範囲

この辺も計算のさじ加減によって大分変わってくるのですが、ソラーレ、ソーラーラプターの様なレフタイプのメタハラの場合、およそ36°角、つまり中心線から18°角程でUVB量は半分以下まで減ります。レフランプタイプのメタハラは、それ程広範囲に紫外線を供給する能力はありません。

まぁ、メタハラの紫外線をケージ全域に当てる必要はありませんし、範囲に関してはそこまで気にする必要はないとは思いますが、大型ケージ、大型種にメタハラを使う場合はある程度意識する必要が出てくると思います。

 

 どの様に設置をするか

現在考えられる設置方法として、以下の3つが考えられます。

 

  • クリップライトと同様にランプステー等にクリップを挟んで取り付ける。
  • メッシュ蓋の上に乗せて使う。
  • スダンドを使い距離を離して使う

 

まずクリップライトと同様に、ランプステー等にクリップで固定する方法。ソラーレやソーラーラプターは一般的なバスキングランプと同様な感じで取り付ける事ができます。

角度をつけたり、上部スペースを使わない、等メリットもありますが、どうしても接射状態になってしまい、生体にダメージを与えてしまう事があります。ある程度ケージに高さがある場合、もしくは常に頭の位置が低いリクガメ等ではまだ使える方法ではあるのですが、基本的にはあまりオススメしません。

 

 

特にモニターの様な頭の位置が高いトカゲにおいては注意が必要です。目や粘膜を痛めるだけではなく、火傷の危険ももちろん出てきます。

少し話しはズレますが、ケージ内にメタハラを入れ込むことで温度が上ってしまう可能性も考慮しましょう。これはメタハラに限りませんが、電球には赤外放射の他に、電球自体から溢れる熱があります。

温かい空気は比重の関係で上昇するので、ケージ内の空間温度を上げるのにそこまで大きく寄与することはありませんが、メタハラの灯具ごとケージ内に入れ、ケージ上部を閉めたり空気を対流させる事でケージ内の温度が思いの外上昇してしまう事があります。特に夏場、オーバーヒートがおきてしまうような環境下では意識しておいたほうが良いでしょう。

また、灯具の向きが真横に近づくにつれて、紫外線が目に与えるダメージは大きくなります。多くの飼育者は真上、ずらしても20°程度を推奨しています。

 

次にケージのメッシュ蓋の上に置く方法。これはどのメタハラでも使える方法ですが、どっしりと大きいパワーサンHIDが特にその用途を意識して作られている様に感じました。

市販のケージの高さは36~60cm、市販60~90幅のケージだと45cmぐらいなので、置くだけで自然と程よく生体からの距離が確保できます。火傷の心配もほとんどありません。

この場合は角度を付けるのがやや難しいですね。どうしてもケージ上に置いて角度をつけたい場合は自作のスタンドを作ったり、薄いレンガを使って立てかけたりすると安定して角度がつけられます。前述した通り、無理な角度付はオススメしません。

 

 

グラステラリウムの様なメッシュ蓋が柔らかくてたわむようなケージにはこの方法は使わない方が良いですね。蓋を自前で用意しましょう。

 

専用のスタンド(別に自作でも良いが)が発売されている場合は利用するのも手です。例えばこういうの。

 

スドー ソラーレ70専用ライトスタンド

 

照射距離を細かくセッティングできるので、メタハラの万能性を十分に発揮することができるでしょう。ただでさえ高いメタハラ、さらなる出費を許せる人、ケージの上に空間がしっかり空いている人に限りますが、選択肢に入れておいてください。

 

 

ポイント!

ここまで長々と基本的な事を書いていきましたが、ここからはポイントをまとめていきます。

 

メタハラはバスキングランプになり得るか

メタハラを使う際は、メタハラは日向を作る照明、という意識を持つと良いと思います。紫外線と可視光量は確保してくれますが、絶好の日光浴スポットまで作ってくれるとは限りません。特に前述した通り、意外と熱がでないのを見て照明を近づける、というのは危険です。あくまでも太陽の代替品なので、ある程度の高さを持ってサンサンと輝かせてあげるのが正しい使い方だと思います。

 

 

安全な範囲でW数、距離を選ぼう

こちらも前述した通り、距離とメタハラその物のパワーを意識して使いましょう。例えば70Wでしたら前述の通りで問題はありませんが、これが150Wのメタハラ、例えばエムズワンのMH-N150Sを使う場合は、倍以上の距離を取る必要がでてきます。

メタハラは必要な紫外線さえ確保できれば、基本的には照射距離は取れるだけ取ったほうが良いです。危険と言われる低波長の紫外線は、距離を取れば取るほど減衰させることができるからです。

個人的には、ですが、UVBに関してはどのトカゲであろうと100μW/cm2程確保できていれば、紫外線が不足に依るMBDはほぼ避けられると思っています。

温度調節のコツ

メタハラユーザー、特に初めてメタハラを使う人の頭を悩ませるのが温度。メタハラは赤外放射の量が思いの外少なく、バスキングランプ兼用!という売り文句を真に受けると拍子抜けする事が多々あります。

だからといって、温度が上がらない!と思って更に照明を追加すると、今度は温度が想定以上に上昇していて慌ててしまう、なんてケースも。

バスキングスポットを作りたい場合は、メタハラを適正な距離で設置した後に、レンガや溶岩プレート等を置き、温度をサーモガーンで計って様子を見てください。すぐには温度が上がらなくても、1時間ほどすると大分温まります。

それでは足りない場合には追加で照明を入れてあげましょう。生体、ケージサイズにも依りますが、マイクロサン辺りが小回りが利いて使いやすいと思います。

 

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メタハラ使用の注意点

最後にメタハラを使う上での注意点を押さえておきましょう。メタハラは普通の電球とは違う、という話を何度かしましたが、使用法を間違えると生体へのダメージだけではなく、電球や安定器の寿命を著しく短くしてしまいます。

 

短い時間のみ点灯させるのはNG

これは完全にNGという訳でもないんですが、オススメしません。まずメタハラの電球は点灯時に最も負担がかかります。点灯時間が占める割合が増えれば増える程電球の寿命は短くなります。

例えば公称寿命4000時間のメタハラ電球があるとします。この場合毎日10時間使用した場合にはその寿命をフルに使うことができますが、毎回3時間で消灯した場合にはトータル2000時間程で寿命を終えてしまいます。おおよそ半分損してしまう訳ですね。

さらに言えばメタハラは太陽の代役ですから、生体のためにも、日中はしっかりつけてあげる、という意識を持ったほうが良いと思います。

たとえバスキングしていなくても、シェルターに引きこもっていたとしても、昼夜の差をつけてあげるのは大切な事です。

サーモスタット、ディマーに繋ぐのはやめよう

前述の内容を見ていただいたらわかると思いますが、頻繁に電球を点滅させるサーモスタットとメタハラの相性は非常に悪いです。バスキングランプや紫外線灯はサーモで管理すべきではないと思いますが・・・現時点で繋いでる方は取り外しましょう。

またディマーはそもそもメタハラにおいては使用することができません。故障の原因にもなるので、試さないように。

突入電流を意識

メタハラは転倒時に通常の3~4倍の電流が流れます。この電流がタイマーやサーモスタット等を破壊してしまう事があります。最も70w程度のメタハラではそこまで問題は起きにくいですが、タコ足配線大好きの爬虫類飼育者は、メタハラを使用する前に今一度機器や配線の電流電圧についてチェックする事をオススメします。

一応エムズワンから突入電流対策のメカが発売されています。私はメタハラのタコ足をしてるので、一応使っていますが、多分無くても大丈夫だと思います。ハイ。

 

 

最後に

今回はメタハラの使用に関することをやや雑多に書きなぐってみました。ちょっとまとまりが無かったかな、と反省。

メタハラは本当に優秀な照明です。メタハラのおかげで飼育、繁殖に活路を見いだせたトカゲも少なくありません。

だからと言って太陽の完全互換だの、必須アイテムだの言うつもりはありません。

最も紫外線が必要なトカゲであろうトゲオアガマをメタハラなしでブリードしている方もいらっしゃります。ベター、ベストであってもマストではないのです。

だから、予備知識無しの安易な導入はオススメしませんし、メタハラを導入する事で魔法の様に生体の体調が改善される、なんて事を期待してはいけません。やや活性が上がる事はあっても、メタハラには病気を治す力はありませんからね。

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